ノートパソコンではWEB閲覧やメールをする以外にも、ExcelやWordを利用する人が多いと思います。
特にExcelは計算式を大量に組み込むと速度が遅くなりがちです。vlookupなど多様した「簡易的データベース」なんて作ってたら、悲惨なほど重くなっていきます。
このようなExcel/Word/PowerPointなど、事務作業メインとしてのノートパソコンの選び方を説明します。なおゲーミングPCや動画編集、科学計算処理などの利用用途は別の観点でノートパソコンを選ぶ必要があります。こちらは別途記事にします。
純粋にExcel計算速度を上げたい場合はマルチコアCPUを重視
ExcelはマルチコアCPU(複数のCPU)に対応しており、このマルチコアCPU性能向上によって動作が向上します。特にExcel2010以降ではマルチコアCPUに完全対応となっており、CPUのコア数や周波数が動作に影響してきます。
数式を多様している計算ゴリゴリのExcelはマルチコアCPUを重視しましょう。
なおメモリはExcelで大規模なデータを扱わない限り8GB程度で十分です。
Excelは入力済みの数式の計算ではマルチコアCPUを使っている
Excelは入力済みの数式は「自動的に並列処理化してマルチコアCPUに適応」させて計算させているため、数式を大量に使う場合はマルチコアCPUの恩恵を大きく受けることができます。
そのため冒頭で述べたvlookupが多様されたExcelでも高速に再計算が可能となっています。
一方で入力操作やグラフ作成など「計算処理以外の操作」では並列処理化されません。マルチコアCPUの恩恵を受けることができないため、1コアあたりの性能が高いほうが有利です。
例えるなら、仕事をする上でのチームと一緒ですね。
マルチコアCPUはチームメンバーが複数人いるイメージで、分担できる仕事であればメンバー全員で協力して仕事をすることができます。
しかし分担して出来ない仕事であれば、能力が高い1人(1コアあたりの処理能力が高いCPU)でやったほうが早く仕事が終わります。
Excelをどのような使い方をするのかで、選ぶCPUのタイプが変わってくるのです。
Word・PowerPointでは(ほぼ)マルチコアCPUを利用していない
参考までにWordやPowerPointもマルチコアCPUのメリットを受けることができません。なので1コアあたりの性能が高いほうが、資料作成時に「もたつき」がなくストレスがなく作業が出来ます。
あれ?マルチコアCPUって使う場面ある?
世の中にはマルチコアに対応したソフトはほとんどない
ということで、一部のゲームや動画編集ソフトではマルチコアに対応していますが、マルチコア全てを使って性能をフルに発揮できるソフトはほとんどありません。
世の中にはWordを始め、ほとんどがマルチコアCPUに対応していないソフトであり、コア数が多くとも性能はほとんど使いきれません。
そのため1コアあたりの性能が高いCPUがだいたいの利用シーンで優位となっています。
マルチコア性能が高いと価格も高い
当たり前ですがノートパソコン性能が高い=マルチコア性能が高いとノートパソコンの価格も高くなってきます。
下記は当サイト調べ(kakaku.comより)でのマルチコア性能とノートパソコン価格のグラフです。
ノートパソコン価格なのでメーカーブランドやその他機能で価格のバラつきはあるものの、見ての通りマルチコア性能が高くなれば価格も高くなります。マルチコア性能15000あたりから価格も急に上がっています。
お金の処分に困っている社長さんでもない限り、ノートパソコンはできるだけ安く購入したいものです。
総合的にExcelやWordを利用する場合は1コア性能が良いものを選べばいい
ここまでの話からだいたいの利用シーン(事務作業レベルでのノートパソコン用途)であれば「1コアあたりの性能が高く」「(よければ)マルチコア性能が高い」であるCPUを選んだほうが良さそうです。
ではどのようなCPUを選べばいいかというと、1コア性能を表す「Single Thread Rating」スコアが高いものを選びましょう。
このスコアはCPU名がわかれば下記で調べることができます。
PassMark CPU Benchmarks – Single Thread Performance
当サイトでもこのスコアも掲載してノートパソコン評価を行えるように随時情報追加中です。
Single Thread Ratingが高くてマルチコア性能がほどほどなCPU
下記は「Single Thread Rating(シングルコア性能)」と「マルチコア性能≒価格」をグラフにしたものです。
コストパフォーマンスが良さそうな「Single Thread Rating(シングルコア性能)」が高くて「マルチコア性能≒価格」がちょうど良さげなのは赤枠のCPUかなと思います。
※ほんとうは価格を横にしたほうがいいのですが。。。
赤枠をリストアップすると
- 第11世代 インテル Core i5 11320H(Tiger Lake)/3.2GHz/4コア
- 第11世代 インテル Core i5 1155G7(Tiger Lake)/2.5GHz/4コア
- 第11世代 インテル Core i7 11370H(Tiger Lake)/3.3GHz/4コア
- 第11世代 インテル Core i7 11375H(Tiger Lake)/3.3GHz/4コア
- 第11世代 インテル Core i7 11390H(Tiger Lake)/3.4GHz/4コア
- 第11世代 インテル Core i7 1185G7(Tiger Lake)/3GHz/4コア
- 第11世代 インテル Core i7 1195G7(Tiger Lake)/2.9GHz/4コア
- 第12世代 インテル Core i3 1215U(Alder Lake)/6コア
- 第12世代 インテル Core i5 1235U(Alder Lake)/10コア
- 第12世代 インテル Core i7 1255U(Alder Lake)/10コア
- 第12世代 インテル Core i7 1260P(Alder Lake)/12コア
i3よりもi5、i7、i9と数字が上がれば性能も良くなると思われますが、i9とかオーバースペック気味でしょう。
Ryzen CPUよりもIntel CPUを選んだほうが良い
ちなみに先程のリストアップではAMD Ryzen CPUは登場しませんでした。
Ryzen CPUはコア数が多く全コアを利用した性能は高いです。しかし1コアあたりの性能が低い傾向があります。
Ryzenは宣伝文句としてもベンチマークが高いことをうたっています。しかしベンチマークソフトはすべてのコアを利用しているため、実務で利用する範囲では1コアしか利用しない場合が多いと思います。
要するにRyzen CPUだと CPUの持てる力が発揮できないのです。
コア数を増やすと消費電力が増え熱を発しやすくなります。Ryzenは1コアあたりの性能を下げてマルチコア化を進め熱暴走を回避しています。Intelはこのあたりうまく1コア性能をあげつつマルチコア化しています。
最近はプログラミング学習でPythonを学ぶ人も増えています。実は拡張命令セットというCPU特性の関係でRyzenよりもIntelのCPUのほうが速度が早い事例もあります。
包括的に「性能が出ない」事象に悩むことがないようマルチコアCPUは1コア性能が高いIntelを選びましょう。
1コアあたり性能が高いIntel CPUを選ぼう
1コアあたりの性能が高いことは、WEBサーフィン、Word・Excel・PowerPointなどのテキスト作業や、その他の事務作業用途で圧倒的に有利になります。
たった1つのポイントといいつつ3つになりましたが、「1コアあたりの性能が高く」「マルチコア性能もほどほどな」「Intel CPU」を選ぶと間違いがないです。
コメント
「ノートパソコンでExcelやWordを快適に使うために注意するべきたった1つのポイント」
私なら「画面解像度FullHD」をあげるかな。
メモリ8GB、SSD(NVMe)は絶対に必要だけど、最近の安価なモデルはたいてい満たしてるからスルー。
CPUも最悪Celeronでもいいでしょう。CPUは2C4Tぐらいあった方が良いとは思うけれど。
解像度は老眼の進行度合いによるけど、一度味わうと戻ることは絶対出来ない。ブラウザでも閲覧性が全然違う。
ちなみに実家では、メモリとHDDをアップした10年前のceleronB820・8GM・SATA SSDで、親が現役使用中です。YouTube含め一つの作業であれば使えなくはない。ただ、CPUが爆熱ですがね。